冷え性

<背景・疫学>
特に手や足の先などの四肢末端あるいは上腕部、大腿部などが温まらず、冷えているような感覚が常に自覚される状態のこと。
血行障害、特に末梢血管などでの障害により生じることがある。一般的な特徴として、身体全体には寒さを感じず、四肢など部分的に冷えを感じることが多いが、全身の冷えを訴える例もある。特に冷えの訴えの多い部位は足(脚)と手で、冬季と就寝前に強まる。また天候によっても変化する。身体的特徴(身長、体重、BMI など)と冷感との関連性は認められず、皮膚温が低いことが冷感を感じやすいことに直接つながらない。
性別では女性に多いが男性でも冷えの訴えはあり、一般人(男64名 女89名)を対象とした調査では、男性26.6%、女性 55.1%が冷えを自覚し、女子大学生においては、約半数が冷え性群で36%程度が冷えが苦痛に感じているとする報告もある。

<原因>
本来人間の体温は脳の視床下部にてコントロールされており、外気温の低下などで一時的に冷えることはあっても、その後は平常に戻っていく。
冷え性は本来働くべき体温調節機能がうまく機能していない状態であり、主な原因として以下のような物が考えられる。

・自律神経の乱れ
ストレスや不規則な生活により、体温調節の命令を出す自律神経がうまく機能しなくなることにより起こる。また、常に空調の効いた部屋にいると、室内外の温度差が激しくなるため、自律神経バランスがくずれやすい。夏の冷え性はこのため起きやすい。

・皮膚感覚の乱れ
きつい下着や靴などで体を締め付けることが多いと血行が滞りやすくなり、「寒い」と感じる皮膚感覚が麻痺することがある。そのため、体温調節の指令が伝わりにくくなる。

・血液循環の悪化
貧血、低血圧や血管系の疾患がある場合には、血流が滞りやすくなる。

・筋肉量の低下
女性は男性に比べ筋肉量が少ないため、運動による熱産生や血流量が少ないことも、女性の冷え性の原因となりやすい。また、女性のみならず運動不足の人は総じて筋肉量が少ないため冷えやすい。

・女性ホルモンの乱れ
ストレスが多かったり、更年期になると女性の心身をコントロールする女性ホルモンの分泌が乱れ、血行の悪化を促進することがある。

<一般的治療法>
基礎疾患があった上での冷えは、疾患への治療が優先される。
基本的に西洋医学では病気とみなされないことが多いが、東洋医学では治すべき疾患として以下のような漢方が処方される。西洋、東洋に共通して求められることは、ストレス環境などを改善し、自律神経バランスを整え、適度に体を動かすことである。
・桂枝加朮附湯(ケイシカジュツブトウ)
・加味逍遙散(カミショウヨウサン)
・桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)
・当帰四逆加呉茱萸生姜湯(トウキシギャクカゴシュユショウキョウトウ)
・補中益気湯(ホチュウエッキトウ)
・桃核承気湯(トウカクジョウキトウ)
・五積散(ゴシャクサン)
・大建中湯(ダイケンチュウトウ)

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