アキレス腱断裂はなぜ起こる?原因・症状・リハビリ・物理療法

スポーツ中に「突然ふくらはぎの後ろを蹴られたような衝撃があった」「ブチッという音がして歩きにくくなった」といった場合、アキレス腱断裂の可能性があります。
アキレス腱断裂は、テニス・バドミントン・バスケットボール・サッカーなど、急なダッシュやジャンプ、切り返しを伴うスポーツで起こりやすい外傷です。一方、スポーツ選手だけに起こるものではなく、加齢による腱の変化や久しぶりの運動などを背景に発症することもあります。
アキレス腱断裂では、まず整形外科などで正確な診断を受け、保存療法または手術療法を行うことが基本です。その後は、アキレス腱を守りながら足関節の動き、ふくらはぎの筋力、歩行能力を段階的に取り戻していくリハビリが非常に重要になります。
今回はアキレス腱断裂後のケアをお考えの方に向けて、原因・症状・検査・治療から、ES-530立体動態波、アストロン、リハビリ運動・ストレッチまで詳しく解説します。
1.アキレス腱断裂と起こりやすい症状、起こりやすい人

アキレス腱断裂とは?
アキレス腱は、ふくらはぎにある腓腹筋・ヒラメ筋などの下腿三頭筋とかかとの骨(踵骨)をつないでいる太い腱です。
歩くときに地面を蹴る、走る、ジャンプする、つま先立ちをするといった動作では、ふくらはぎの筋力をかかとへ伝える重要な役割を担っています。
アキレス腱断裂とは、このアキレス腱が部分的または完全に切れてしまった状態です。メディカルジャパン立川の既存ページでも、歩行・走行・ジャンプなどに不可欠なアキレス腱が断裂する外傷として紹介しています。
アキレス腱断裂で起こりやすい症状
アキレス腱断裂では、受傷した瞬間に特徴的な感覚を訴える方が少なくありません。
代表的なのが、
- 後ろから誰かに蹴られたように感じる
- ふくらはぎを棒で叩かれたように感じる
- 「ブチッ」「パンッ」と音がした
- アキレス腱周囲が痛む
- 足首の後ろが腫れる
- 内出血が出る
- 地面を強く蹴り出せない
- 階段を上りにくい
- つま先立ちができない
といった症状です。
「歩けるから断裂していない」とは限らない
ここは特に知っておきたいポイントです。
アキレス腱を完全断裂すると歩けなくなるイメージがありますが、実際には時間が経つと歩ける場合があります。
アキレス腱以外の筋肉や腱も足首の動きに関わっているため、ある程度の歩行が可能になるケースがあるためです。
一方、アキレス腱断裂では地面を強く蹴り出す能力が低下し、片脚でのつま先立ちが難しくなることが特徴の一つです。
そのため、
「歩けるから大丈夫」
と自己判断しないことが大切です。
アキレス腱断裂が起こりやすい人
アキレス腱断裂はスポーツ選手だけのケガではありません。
特に注意したいのは、
- テニスやバドミントンをする方
- バスケットボール・バレーボールをする方
- サッカー・フットサルをする方
- 久しぶりにスポーツを再開した方
- 急に運動量を増やした方
- 瞬発的な動作を繰り返す方
- 過去にアキレス腱を痛めたことがある方
- 体重が増加して足への負担が大きい方
- 加齢に伴い腱の柔軟性・耐久性が低下している方
などです。
若年層ではスポーツ中、高齢者ではスポーツ以外の日常動作でも受傷することがあります。
2.アキレス腱断裂の主な原因

アキレス腱断裂では、腱に短時間で非常に大きな張力が加わることが代表的なきっかけになります。
急なダッシュ・加速
静止している状態から突然ダッシュすると、ふくらはぎの筋肉が急激に収縮します。
その力がアキレス腱へ伝わることで、腱に大きな負荷がかかります。
ジャンプ・着地
バスケットボールやバレーボールなどでは、
ジャンプ → 着地 → 再びジャンプ
といった動作を繰り返します。
特に踏み切りや着地の瞬間にはアキレス腱へ大きな負荷が加わります。
急停止・切り返し
テニスやバドミントン、サッカーなどでは、走っている方向を瞬間的に変える動作が頻繁にあります。
このような、
- 急停止
- サイドステップ
- 切り返し
- 急加速
はアキレス腱へ急激な負荷を加える代表的な動作です。
加齢による腱の変化
アキレス腱は強い組織ですが、年齢とともに組織の性質は変化します。
若い頃と同じ感覚で突然激しいスポーツをすると、筋肉は動いても腱が負荷に耐えられず、断裂につながる場合があります。
特に、
「学生時代は運動していたが、数年ぶりに本格的なスポーツを再開した」
というケースでは注意が必要です。
急激な運動量増加
これまで週1回しか運動していなかった方が突然週4~5回運動したり、短期間で練習量を大幅に増やしたりすると、腱の回復が負荷に追いつかないことがあります。
予防では、
運動強度 × 運動時間 × 頻度
を一気に増やさないことが大切です。
3.アキレス腱断裂の検査・診断

アキレス腱断裂が疑われる場合は、整形外科などで状態を確認します。
診断では、症状だけでなく身体診察や必要に応じた画像検査が行われます。
断裂部分を触って確認する
完全断裂の場合、アキレス腱の途中に**へこみ(陥凹)**を触れることがあります。
ただし、受傷直後の腫れが強い場合などは、触診だけで判断しにくいことがあります。
Thompsonテスト
アキレス腱断裂を確認する代表的な検査です。
うつ伏せになり、膝を曲げた状態でふくらはぎを圧迫します。
正常であれば、ふくらはぎの筋肉からアキレス腱へ力が伝わるため、足首は自然につま先を下げる方向(底屈)へ動きます。
アキレス腱が断裂している場合、その力がかかとへ伝わりにくくなり、足首の底屈が起こりにくくなります。
超音波検査
超音波検査(エコー)では、
- 腱が連続しているか
- 断裂部分
- 腱の間隔
- 周囲の状態
などを確認できます。
動かしながら観察できることも超音波検査の特徴です。
MRI
必要に応じてMRIを用いて、
- 断裂の範囲
- 部分断裂か完全断裂か
- 周辺組織の状態
などを詳しく確認する場合があります。
4.アキレス腱断裂の治療

アキレス腱断裂の治療は、大きく、
保存療法
手術療法
に分けられます。
どちらを選ぶかは、断裂の状態だけでなく、
- 年齢
- 活動レベル
- スポーツ種目
- 仕事
- 基礎疾患
- 再断裂リスク
- 本人の希望
などを総合的に考えて医師が判断します。
保存療法
手術を行わず、
- ギプス
- 装具
などを使用して足首を一定の角度で保ち、断裂した腱同士が近づいた状態で治癒を待つ方法です。
以前は保存療法では再断裂率が高いことが課題とされていましたが、現在は装具を活用しながら適切なタイミングで荷重や運動を行う機能的リハビリテーションが重要視されています。日本理学療法士協会のガイドラインでも、保存療法後の早期装具療法、荷重、可動域運動、下腿三頭筋筋力増強などが検討されています。
手術療法
断裂したアキレス腱を縫合する方法です。
競技レベルや活動性、断裂状態などを考慮して選択されます。
手術をした場合も、腱を縫合すればすぐ元通りになるわけではありません。
術後には、
組織の治癒 → 荷重 → 可動域 → 筋力 → 歩行 → ランニング → スポーツ
という段階的なリハビリが必要です。
治療後の「リハビリ」が重要
アキレス腱断裂では、腱がつながることだけがゴールではありません。
長期間動かさないことで、
- ふくらはぎの筋力低下
- 足関節の可動域低下
- バランス能力低下
- 歩き方の変化
- 左右差
などが起こる場合があります。
そのため、保存療法でも手術療法でも機能を取り戻すためのリハビリが重要になります。
5.ES-530立体動態波とアストロン治療

メディカルジャパンでは、アキレス腱断裂後の回復期に、医療機関での治療方針や組織の状態を確認したうえで、物理療法をリハビリの補助として取り入れています。
ES-530立体動態波[マイクロカレントモード]とは?
μA(10-6A)という微弱な電流で、損傷の治癒を促進し、スポーツ後の筋肉痛軽減に適しています。また、感覚閾値下刺激で、顔面周辺や創部周辺への治療に最適です。
回復段階に応じて、
- 患部周囲への電気刺激
- 疼痛への補助的アプローチ
- 下腿筋への刺激
- 筋機能を取り戻すための補助
- リハビリ運動を行いやすい状態づくり
などを目的として用いる場合があります。
アストロン[超音波]とは?
聴感覚を生じさせないほど細かな周波数で振動する音波を利用し、微細振動による微小マッサージ作用(細胞レベル)と温熱作用により、筋肉・関節などのこわばり や疼痛を緩解させます。また、再生組織の活性が促され骨折なども治癒しやすくなります。
アキレス腱断裂後では、医師から運動や物理療法を許可された回復期に、
- アキレス腱周囲
- ふくらはぎ
- 足関節周囲
などの状態に合わせて使用する場合があります。
6.アキレス腱断裂後のリハビリ運動・ストレッチ

アキレス腱断裂後のリハビリで最も大切なのは、
「早く元に戻そうとして、無理に伸ばしたり鍛えたりしないこと」
です。
腱は治癒段階によって耐えられる負荷が異なります。
そのため、医師や理学療法士などから示された治療・リハビリスケジュールを守りながら段階的に進めます。保存療法後の可動域運動や下腿三頭筋筋力増強は、理学療法ガイドラインでも重要な検討項目です。
初期|腱を守りながら身体機能を維持する
固定・装具期間には、患部へ許可されていない負荷を加えないことが基本です。
一方、医師の許可範囲で、
- 足の指を動かす
- 膝を曲げ伸ばしする
- 股関節を動かす
- 体幹を鍛える
など、患部以外の機能を維持することがあります。
中期|足関節の動きを少しずつ取り戻す
治癒が進み、医師から足関節運動を許可されたら、可動域を段階的に取り戻します。
ここで重要なのは、
背屈方向へ無理に伸ばさないこと
です。
治癒途中のアキレス腱を過度に伸ばすと、腱が必要以上に長くなる可能性があります。
そのため、
「硬いからたくさんストレッチする」
のではなく、治癒段階に合わせます。
ヒラメ筋ストレッチ
ヒラメ筋はふくらはぎの深部にあり、アキレス腱へつながっています。
一般的には、
- 壁に手をつく
- ストレッチしたい脚を後ろにする
- 膝を軽く曲げる
- かかとを浮かさず体重を前へ移す
ことでヒラメ筋を伸ばします。
ただし、アキレス腱断裂後は開始時期が重要です。
腓腹筋ストレッチ
腓腹筋はふくらはぎ表面の大きな筋肉で、ヒラメ筋とともにアキレス腱につながっています。
一般的には、
- 壁へ手をつく
- ストレッチしたい脚を後ろへ引く
- 後ろ脚の膝を伸ばす
- かかとを床につける
- 身体をゆっくり前へ移動する
という方法です。
これも痛みを我慢して強く伸ばさないことが重要です。
下腿三頭筋の筋力トレーニング
アキレス腱断裂後は、固定や免荷によってふくらはぎの筋力が低下しやすくなります。
そこで段階的に、
軽い底屈運動 → 両脚カーフレイズ → 片脚カーフレイズ
へ進めていきます。
両脚カーフレイズ
- 両足で立つ
- 壁や椅子へ手を添える
- 両方のかかとをゆっくり上げる
- ゆっくり下ろす
という運動です。
最初から患側だけで行うのではなく、両脚で負荷を分散します。
片脚カーフレイズ
筋力と腱の耐久性が回復したら、片脚でのカーフレイズへ進みます。
このときは、
- 何回できるか
- どの高さまで上がるか
- 左右差があるか
- 翌日に痛みや腫れが増えないか
などを確認します。
バランストレーニング
アキレス腱断裂後には、単純な筋力だけでなく、
- 足関節の安定性
- 重心コントロール
- 片脚立位
- 着地能力
なども取り戻す必要があります。
そのため、
両脚立位 → 片脚立位 → 不安定面 → ステップ → スポーツ動作
と段階的に進めます。
スポーツ復帰へ
最終的には、
通常歩行
↓
両脚カーフレイズ
↓
片脚カーフレイズ
↓
軽いジョギング
↓
ランニング
↓
ジャンプ
↓
切り返し
↓
競技復帰
というように、段階的に負荷を高めていきます。
「受傷から○か月たったから復帰」だけで判断するのではなく、
筋力・可動域・歩行・片脚カーフレイズ・ジャンプ能力・左右差
などを確認することが重要です。
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