カゼ

<背景・疫学>
正式には風邪症候群といい、上気道の急性炎症の総称。ウイルスが粘膜から感染して炎症を起こすため、くしゃみ、鼻水、鼻詰まり、発熱などの症状が起こる。

<原因>
原因の7―8割がウイルスである。ウイルスの種類として最多となるのは普通感冒と言われるライノウイルス、冬季に最多となるコロナウイルス、プール熱を引き起こすアデノウイルス等が挙げられる。感染の経路により空気感染、飛沫感染、接触感染の3種類に分かれる。

<一般的治療法>
症状に対しての対症療法が用いられる。
西洋医学と東洋医学では風邪に対する考え方が異なり、西洋医学は「解熱」などの熱を取ることに注力するが、東洋医学では外邪の侵襲に対しての「温法」が用いられることが多い。

気管支炎

<背景・疫学>
呼吸器疾患の一つで気管支の炎症を指す。急性と慢性に区分される。また、別の区分では慢性気管支炎は閉塞性肺疾患にも分類される(気道の狭窄症状、肺の過膨張、喘鳴、呼気延長、1秒率の低下、残気量の増加等)。自身の喫煙や周りの人間による受動喫煙の健康被害により、症状が悪化したり慢性化したりする悪影響がある。

<原因>
急性気管支炎
咳を主症状とする3週間までの気管支炎症をさす。原因の90%はウイルス感染症である。
・インフルエンザウイルス、アデノウイルス、百日咳、肺炎球菌など
先駆症状として風邪症状が現れ、次第に咳や痰などの急性カタル性炎症を呈す。検査では白血球増加、CRP陽性がみられる。

慢性気管支炎
咳や痰が2年以上連続し、毎年3ヶ月以上継続するものを指す。慢性閉塞性肺疾患に含まれる。
・男性に多く、加齢、外分泌機能の低下、アレルギー要因などが内的要因にあげられ、外的要因としては大気汚染や喫煙(受動喫煙)、感染症の悪化などが挙げられる。
急性気管支炎が漿液性の痰が見られるのに対して、慢性気管支炎では膿性痰が見られ、また呼吸困難やチアノーゼなどの症状が見られる。

<一般的治療法>
急性気管支炎の場合、検査にて白血球増加・CRP陽性がみられ、去痰剤などの使用や咳止めなどの処方がなされる。
慢性気管支炎では、胸部X線撮影・気管造影などで異常がみられ、ネブライザー吸入療法や体位ドレナージによる気道浄化が行われる。喫煙習慣がある場合や、生活環境の空気汚染がある場合には禁煙や環境改善などの指導が行われる。

喘息

<背景・疫学>
気管支喘息(喘息)は、慢性の気道炎症、気流制限、気道過敏性の亢進を病態の基盤に有し、発作性に呼吸困難、喘鳴、咳などの呼吸器症状を来す疾患である。
日本では近年増加傾向にあり、10年の経過で1,5倍から2倍程度に増加している。
代表的な分類に、幼児期に発症することの多いアトピー型と、40歳以上の成人に多く見られる非アトピー型に分類する方法がある。

<原因>
原因は解明されていないところもあるが、IgE型の免疫不全とする考え方もある。
深夜から明け方にかけて咳症状が強くなり、温度差のあるところに移動した場合にひどくなるなどの特徴がある。

<一般的治療法>
気管支拡張剤の使用や、咳止めなどの処方の他、アレルゲンの関与が強く疑われる場合には、悪化要因を減らす環境改善などが求められる。

咽頭炎

<背景・疫学>
咽頭は鼻・口を通して直接外と接するところのため、感染を起こしやすい。
ウイルスや細菌などの感染や声の使い過ぎなどが原因で口腔や鼻腔の奥にある咽頭が炎症を起こしている状態。喉に痛みを感じたり、食事をするのが困難になったりすることがあり、溶連菌による感染が原因で強い症状が出ていれば抗菌薬を用いて治療する。

<原因>
気温の変化、寝不足や疲れなどで抵抗力が落ち、細菌やウイルスが感染すると喉が赤く腫れる。
風邪を引いている乳幼児が急性咽頭炎になりやすく、夜間に急に引き起こす場合が多くある。さらに、刺激性ガスを吸入するなど物理化学的な刺激も原因となる場合がある。

ウイルスや細菌などの感染が原因の場合
・溶連菌・ジフテリア菌・淋菌・マイコプラズマ・クラミジア・インフルエンザウイルス
・コクサッキーウイルス・アデノウイルス・EBウイルス・麻疹ウイルス・風疹ウイルス
また、声の使い過ぎや喫煙、飲酒などの刺激が原因となることもある。

慢性上咽頭炎の場合には、不快な症状が長くため、他の様々な疾患を招く原因になるとも考えられている。

<一般的治療法>
細菌が原因の場合の治療は、感染症が再発予防や悪化しないように抗菌薬は処方される。ウイルスが原因の場合の治療は、対症療法となる。

対症療法:安静、解熱鎮痛薬を服用、水分摂取、加湿器で喉を保湿に保つ
予防:手洗いとうがい、病気の人との不必要な接触を避ける

扁桃炎

<背景・疫学>
扁桃は、鼻や口から体内に細菌が侵入することを防ぐ役割を果たすリンパ組織。口蓋垂の両脇、左右の舌の付け根あたりにある口蓋扁桃は、6~7歳で大きさが最大になるが、その後は徐々に小さくなり、大人ではほとんど分からなくなる。扁桃炎とは、ここでウイルスや細菌が原因となって炎症を起こし、様々な症状を引き起こす病気。

<原因>
ウイルスや細菌の侵襲。原因が溶連菌の場合は、急性糸球体腎炎などの疾患のリスクとなるため、注意が必要とされる。
扁桃は外部から侵入したウイルスと免疫が闘う最初の地点になる(ワルダイエルの咽頭輪)。

<一般的治療法>
ウイルス性の場合は対症療法、細菌性の場合は主に抗菌薬が用いられる。食事が取れるのであれば、抗菌薬等の内服でも治療可能。食事が取れない場合は、入院の上、抗菌薬の点滴がされる。扁桃周囲膿瘍まで進行してしまうと、抗菌薬投与とともに、膿が溜まった口蓋扁桃の周囲を穿刺(せんし)や切開することで、排膿を試みる。扁桃炎の再発頻度が高い(年に3~4回以上)場合は、扁桃摘出術が用いられる。

咳・痰

<背景・疫学>
咳は、肺や気管などの呼吸器を守るために、外から入ってきたほこり、煙、風邪のウイルスなどの異物を気道から取り除こうとする生体防御反応である。異物が入り込むと、まず咽頭や気管、気管支など気道の粘膜表面にあるセンサー(咳受容体)が感じ取り、その刺激が脳にある咳中枢に伝わると、横隔膜や肋間膜などの呼吸筋(呼吸をおこなう筋肉)に指令が送られ、咳(せき)が起こる。この反射運動を「咳反射」という。
咳(せき)にはまた、気道にたまった痰を外に排出する役割もある。気道粘膜には細かい毛(繊毛)と、その表面を覆う粘液があり、粘膜の表面を潤して保護している。この粘液がウイルスや細菌などの病原体やほこりなどの異物をからめ取ったものが痰であり、気道に炎症があると痰が増え、粘り気が強くなる。痰は、外にむかって異物を追い出そうとする繊毛の運動と、咳反射によって外に出される。

<原因>
咳(咳嗽)は、風邪によるものから肺がんなど重い病気があるものまでさまざま。原因となる病気にかかってから3週間以内に収まる咳を急性咳嗽と呼び、3週間以上続くものを遷延性咳嗽、そして8週間以上を慢性咳嗽と呼ぶ。
急性の場合、風邪、急性気管支炎、インフルエンザが原因にあげられ、慢性の場合にはアトピー性喘息、慢性気管支炎、胃食道逆流症などがあげられる。

痰は原因により色や性状に変化が見られる。漿液性痰は無色透明で粘度が低くサラサラした性状を示し,気管支喘息,気管支拡張症,肺水腫などでみられる。粘液性痰は無色透明~白色で,粘度が高くネバネバした性状を示し,気道病変優位慢性閉塞性肺疾患(COPD),急性気管支炎の初期などでみられる。膿性痰は黄緑色で粘度が高くネバネバした性状を示し,呼吸器感染症でみられることが多い。血性痰・喀血は肺がん,気管支拡張症,肺梗塞,びまん性肺胞出血症候群などでみられる。

<一般的治療法>
急性咳嗽の場合には対症療法が特に用いられるが、症状が強い場合や慢性疾患の場合には、環境改善の指導や原因に応じた薬剤の処方がなされる。
痰の場合、漿液性や粘液性の程度の軽いものには痰切れをよくする処方がされ、血痰が見られた場合には内視鏡などで気道粘膜の状態を確認し、原因への対処がされる。

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