円形脱毛症

<背景・疫学>
毛髪が抜ける病気。年齢は幼児から高齢者まで、症状は軽症から重症まで、広い幅がある。円形に1ヶ所抜けた場合は単発性通常型、脱毛斑が複数できると多発性通常型、頭部全体に及ぶと全頭型、眉毛・睫毛・体毛まで抜けると全身型または汎発型になる。また、側頭から後頭部の生え際が帯状に脱毛する蛇行型もある。数週間で自然に治る方がいる一方、治療しても効果がなく生涯にわたり脱毛が続く場合もある。幼少期から始まった方、アトピー性疾患を合併している方、蛇行型・全頭型・全身型は難治とされる。
円形脱毛症の年齢分布は、30歳以下で発症する割合が81.8%、特に15歳以下の発症が全体の4分の1を占めているなど若い世代に多いのが特徴。また成長期だけではなく生まれたばかりの幼児でも発症が見られる。
男女比では、やや女性が多い傾向にあり、生理や出産などにより悪化または治癒する事がある。

<原因>
ストレス・神経障害・内分泌異常など様々な説が唱えられているが、最近は自己免疫が原因である説が有力とされる。脱毛部を顕微鏡で調べると、血管から皮膚に集まったリンパ球が成長期の毛根を攻撃しているようなことがみられる。リンパ球に攻撃された毛は萎縮して成長が止まり、抜けていってしまう。

免疫とは、細菌やウイルスなどの外敵を認識して排除する生体の防御システム。生物は自分の体(自己)とそうでないもの(非自己)を見分ける仕組みを持っているが、何らかの理由でこの自己・非自己の認識が乱れると、自分のリンパ球が本来ならば攻撃の対象となってはいけない自分自身の成分を攻撃するようになる。このように自分で自分を攻撃することが原因となる病気を、自己免疫性疾患と言う。

攻撃される対象が毛根の場合には脱毛症になるが、ほかにも多くの自己免疫性疾患があります。皮膚のメラニン細胞が攻撃されると、色が抜けて白斑に。天疱瘡では表皮が攻撃され、全身に水ぶくれができる。皮膚以外にも甲状腺の病気・血液の病気・神経の病気・関節リウマチなどの膠原病も自己免疫性疾患の一つである。

<一般的治療法>
脱毛斑が数個までの通常型円形脱毛症は数カ月で自然に治ることも多いが、育毛剤やステロイド剤を塗って、回復を早める治療が行われる。時に、通常型脱毛症でも長いこと発毛しない、発毛しても再び脱毛する方もいる。
近年では、SADBE 又は DPCP という化学物質を塗って人工的に接触皮膚炎を起こさせる治療法(局所免疫療法)が試みられるようになり、優れた効果があることがわかってきている。

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