小児喘息

<背景・疫学>
小児喘息は小児気管支喘息ともいい、呼吸困難などを引き起こす病気。日本では小児の3%、外国では10%以上とされありふれた疾患ではあるが、最近10年間で2~3倍にも増えている。発症は1~2歳が多く、小学校入学までの間に発症する人が大半を占める。症状が落ち着くまで平均的には10年、7割の人が成人までに症状がなくなる。

<原因>
喘息患者の気道は常にアレルギー性の炎症を起こしているため、表面の粘膜が剥がれて神経が過敏となり、ダニや風邪、気温や気圧の変化など様々な原因に気道が反応し、発作が起きる。
発作が起きると気管支の筋肉が縮み、粘膜が腫れて気道が狭まる。また粘膜が一層剥げ落ちて神経が刺激され炎症が強まり、発作が発作を呼ぶ悪循環に陥る。
炎症が長く続くと気管支が固くなり気道が狭くなり、戻らなくなる。その場合、喘息は治っても呼吸機能が低下したまま成人を迎える。

以下のような因子により、喘息は誘引されやすい。
・アレルゲン
チリダニ、イエダニ、カビ、屋外花粉、羽毛
・運動
寒冷時、または空気が乾燥しているときに運動することで起きやすい。
・刺激物
受動喫煙、香水、煙、洗剤、大気汚染など
・ウイルスなどによる呼吸器感染症
・その他
感情(不安、怒り、興奮など)、アスピリンまたは非ステロイド系抗炎症薬など

<一般的治療法>
急性発作に対して気管支拡張薬、ときに吸入コルチコステロイドが用いられる。
慢性喘息に関しては、吸入コルチコステロイドおよびロイコトリエン修飾薬などが用いられる。発作が軽い場合は発作が起きたときに薬剤を用いるが、慢性的に喘息症状がでる場合には、平時から薬剤服用が必要となる。
発作出現時は起座位を取り、安静にすることが求められる。症状が就寝後から明け方にかけて出現しやすく、小児にとって重要な睡眠が妨げられたり、発作症状により生命の危機を感じ不安感を感じやすくなることもあるため、身体的なケアに加え、精神的なケアも重要となる。


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