陰萎(インポテンツ、ED)

陰萎(インポテンツ、Erectile Dysfunction:ED)とは、「性交時に十分な勃起を得られない、あるいは維持できないことで、満足な性交が行えない状態」を指します。
日本ではバイアグラの登場以降、EDの治療は一般的になりつつありますが、今なお人に相談しにくい悩みの一つです。日本人男性の約10〜15%が何らかの性機能障害を抱えているとされており、年齢に比例して発症率は上昇します。
EDは単なる「男性の老化現象」ではなく、心身の健康状態を反映する重大な疾患であり、放置することで生活の質(QOL)の低下や精神的ダメージを招く恐れがあります。
疫学とリスク因子

EDの発症には年齢が大きく関係しますが、近年は20〜30代の若年層にも広がりつつあります。
- 加齢: 40歳を超えるとリスク上昇
- 生活習慣病: 糖尿病、高血圧、脂質異常症
- 喫煙・肥満・運動不足
- 精神的ストレス・うつ病
- 薬剤性ED: 降圧剤、抗うつ薬、抗精神病薬など
※ 特に糖尿病は、神経障害・血管障害の両面からEDを引き起こす主要因です。
原因
身体的要因と心理的要因に分けられます。
- ・動脈硬化による陰茎血管の狭窄や血流障害
- ・糖尿病性血管障害も含まれる
- ・脳卒中、脊髄損傷、骨盤手術後(直腸癌、前立腺癌)
- ・神経伝達の途絶による勃起困難
- ・テストステロン(男性ホルモン)の分泌低下
- ・加齢男性性腺機能低下症候群(LOH症候群)
- ・陰茎の奇形(尿道下裂など)

ひとつには、尿道下裂など陰茎の変型があげられる。また、脳卒中や頭部外傷、脊髄損傷、骨盤内臓器の手術後などの神経系の障害によるもの。陰茎の血管の狭窄などによって血流量が減ることで起きるもの。脳下垂体や副腎、睾丸などのホルモンを分泌する器官の障害によるものなど、様々。
また、避けることのできない原因のひとつに老化がある。精子をつくる機能は30~40歳頃から老化が始まり、ホルモンをつくる機能も低下する。それに伴い、個人差はあるが、勃起能力や射精能力は次第に減少するため、勃起力も弱まっていく。
性知識が乏しいうちの性行為の失敗や、早漏などにより、その後の性交に対して恐怖感をもってしまい、性的欲求があっても挿入時に萎えてしまい、うまくいかない場合がある。このように、自信喪失からEDなってしまうもの。また、仕事や生活環境などで激しいストレスに長期間さらされると、副交感神経やホルモン分泌に影響が及び、性欲が阻害されて起こるものがある。
うつ病や自律神経失調症などの心身症では、性欲そのものが減退したり、自律神経の調節異常などにより勃起が起きにくくなり、また心理的なバイアスも相まってより症状が長引いてしまう事もある。
いずれの原因であっても、血流の低下が起こり、性機能不全の状態が続くと、しだいにペニスの血管が収縮して筋肉細胞も萎縮してしまう。そうなると、勃起はより因難になり、さらに精神的ダメージが重なり、失敗から怖れが生じ、最終的には性欲も性に対する興味も失ってしまう要因にもなりかねません。
病態整理
勃起は「血管・神経・ホルモン」の三要素の調和によって成り立ちます。
→大脳・脊髄の性中枢が反応

→陰茎海綿体動脈の拡張

→勃起発現


※ 自律神経(交感・副交感神経)の乱れも、EDの重要な病態要因です。
病院での診断の流れ
- 1.問診:症状、既往歴、生活習慣を詳細に確認
- 2.身体診察:血圧、心拍、性器異常の有無
- 3.血液検査:テストステロン、糖尿病指標(HbA1c)、脂質
- 4.夜間勃起モニター(NPTテスト):睡眠中の勃起回数・持続時間を測定し、器質性か心因性かを判別
- 5.心理評価:うつ病・不安障害のスクリーニング
一般的治療法
原因によりさまざまな治療法が用いられます。- ・ノンエレクト法:性交時の勃起を意図的に避ける訓練 これは勃起を禁止することで性行為時の勃起に対するストレスを取り除く方法の一つである。機能性(心因性)勃起機能障害の患者さんが適応となる。
- ・認知行動療法(CBT):誤った思考パターンを修正 機能性、器質性勃起障害の両方の場合に適応になります。
- バイアグラ(シルデナフィル)
- レビトラ(バルデナフィル)
- シアリス(タダラフィル)
- ・加齢男性性腺機能低下症候群の治療
- ・注射(テストステロンエナント酸エステル)や経皮剤など
- ・陰茎海綿体注射(ICI療法)
- ・陰茎インプラント手術(最終手段)
現在ではバイアグラやレビトラ、シアリスを使用した治療が中心で、効果としては約7~8割とされる。これらの薬剤は陰茎海綿体平滑筋を緩める作用を増強させ、海綿体の血液貯留をうながすことで勃起を起こしやすくする薬となります。
作用機序:PDE5酵素を阻害 → 血管を拡張 → 勃起促進
メディカルジャパンにしかできない介入例
自律神経・末梢血流診断

メディカルジャパンでは、ED(勃起障害)の原因を正確に見極めるための詳細な分析を行っています。 自律神経のバランス、特に交感神経と副交感神経の乱れは、EDの大きな要因のひとつです。これにより、血流や神経の働きが正常に機能せず、勃起不全を引き起こすことがあります。 当院では、検査結果に基づき、個々に最適なアプローチと改善策をご提案し、根本的な改善を目指します。
Vital 鍼灸→自律神経の調整


鍼施術は、ツボ(経穴)に専用の細い鍼を刺して、体に刺激を与える施術です。 使用する鍼は髪の毛ほどの細さで、痛みはほとんど感じません。 この刺激が自律神経系や血流、ホルモンバランスに働きかけ、血液循環を促進し、神経の働きを整えることでEDの改善をサポートします。 また、筋肉の緊張緩和や自然治癒力の活性化も期待でき、体の内側から健康を目指す施術です。
自律神経の調整、精神・心理面の安定 勃起、勃起抑制を支配する自律神経下位中枢と関係する仙骨部、腰部、下腹部などのツボや圧痛、硬結などの反応点に施術します。
【処方例】 腰部 : 腎兪 仙骨部 : 次髎(じりょう)、中髎(ちゅうりょう) 下腹部 : 中極


動画で見る「自律神経」とは
自律神経を正しく理解し、自律神経診断や当院で行う治療法を動画で解説
下記の動画では、自律神経とは何か、乱れる原因、そして改善のための具体的な方法を解説しています。
ED(勃起障害)は、動脈硬化や血流障害が原因でEDを引き起こすことが多く、これは心筋梗塞や脳梗塞など心血管疾患の初期サインであるケースも少なくありません。
メディカルジャパンでは、EDを全身の健康のサインと捉え、早期の相談・治療をおすすめしています。
EDの改善は、QOL(生活の質)向上だけでなく、心血管疾患のリスク低下にもつながります。お一人で悩まず、どうぞ安心してご相談ください。